腸内細菌はグレート!正しく知ってアンチエイジングを実践しましよう。

腸内細菌は、アンチエイジングに必要な細菌の代表です!

腸内にいる細菌は、100兆個以上!

 

腸内細菌は、私達の健康に大きく関わっています。

 

腸内環境の研究も進み、その役割も少しずつ解明されてきました。

 

「人間の腸の中には、約1,000種類、100兆個以上の細菌がいます。」と、慶雁義塾大学医学部消化器内科の金井隆典教授は語っておられます。

 

100兆という数字は、かなり大きい数字という感覚はありますが、あまりにも大きすぎてピンと来ませんね。

 

人間の細胞は、全部で約37兆個と言われていますから、腸の中には、その数倍の細菌がいることになります!

腸内細菌の種類

 

腸内細菌は大きく3種類に分けられます。

 

ビフィズス菌や乳酸菌のように、人体の健康維持におおいに役立つ善玉菌(プロバイオテイクス)。

 

ウェルシュ菌のように、逆に人体に悪影響を及ぼす悪玉菌(パソビオント)。

 

働きがはっきりしないで、善玉とも悪玉とも言えないグレーゾーンの菌(バイスタンダー:日和菌)です。

善玉菌

善玉菌は人間が消化できない食物繊維を消化し、ビタミンKなどを作るのに役立ちます。

 

また、酢酸、酪酸、プロピオン酸などを作り、免疫を制御する抗アレルギー作用も持っています。

悪玉菌

一方の悪玉菌は、発がん性物質や有害物質を作り、病気を引き起こします。

 

わかりやすく言えば、善玉菌が多ければ健康に、悪玉菌が多ければ病気になりやすいと言うことができます。

 

20世紀初めのロシアの微生物学者メチニコフは、「ブルガリアに長生きする人が多いのはヨーグルトをたくさん食べるからだ」と提唱し、自身もヨーグルトを食べまくったそうです。

 

ヨーグルトに含まれている乳酸菌が長寿の秘密だということが、自然にわかっていたのかもしれません。

腸内環境は、アレルギーや生活習慣病とも深い関係があります。

乳酸菌が善玉菌なのは確かですが、金井教授によると「現代の医学をもってしても、数百種類ある腸内細菌の働きがすべて解明されているわけでは無いと言われています。

 

例えば、腸内細菌の中でも数が多い菌にクロストリジウムというのがあります。

 

もともとは、免疫を制御する善玉菌なのですが、「この善玉菌の中においるクロストリジウム・ディフィシルは、キシンという毒素を出して深刻な腸炎を引き起こす悪玉菌なのです。

 

逆に悪玉菌とされている大腸菌も、「すべて悪玉とは限らない。」と言われています。

 

現在、善玉菌や悪玉菌にはっきりと分類されている菌は、膨大な腸内細菌全体から見ればほんの一部にすぎないのです。

 

腸内細菌の草原地帯、腸内フローラ

 

腸内にいる細菌の構成を腸内フローラ(腸内細菌叢:ちょうないさいきんそう)と呼び、これは個人によって違っています。

 

腸内フローラとは、腸内細菌でできた草原みたいなもので、腸内に芝生のように広がっている状態をいいます。

 

この腸内フローラ、草原地帯は、環境の影響を大きく受けます。

 

腸内フローラは、同じものを食べている家族は似ていますが、離れて暮らしている家族とでは変わってくるといいます。

 

人は母親から生まれてきた瞬間から、多くの菌にさらされていきます。

 

思春期までには、相性のいい菌が決まってきます。

 

本来の腸内フローラのバランスから乱れた状態をデイスバイオシスと言います。

 

年齢を重ねると、ディスバイオシスを起こしやすくなる、と言われています。

 

そのため高齢者は免疫力が低く、ウイルスなどの感染症を起こしやすくなるというわけです。

 

花粉症やアトピー性皮層炎と腸内フローラとの深い関係

花粉症やアトピー性皮層炎といったアレルギー疾患が増えているのも、腸内フローラと関係が深いと言われています。

 

よく指摘される原因の一つは、赤ん坊を母乳で育てているかどうかということです。

 

母乳には、オリゴサッカライドという成分が含まれていますが、実は人間では消化できません。

 

「これは乳酸菌のエサになるものです。そのため、母乳で育てるということは、腸内の乳酸菌が増えるということになります。」と金井教授は説明しています。

 

また、アトピー性皮膚炎など慢性のアレルギー疾患に悩む人の膓内フローラには、免疫を抑制する菌が少ないとも言われています。

生活習慣病と腸内フローラ

アレルギーだけではありません。

 

最近の研究から、腸内フローラが生活習慣病とも密接に関わっていることもわかってきました。

 

肥満の人や糖尿病の人の腸内フローラには、共通する特徴があるようです。

 

マウスを使った実験から、腸内フローラと心血管疾患のリスクに関係があることも確認されました。

動脈硬化を起こしやすいマウスの腸内フローラを抗生物質で変えると、動脈硬化の進行が抑えられたそうです。

ウンチの移植で難病が改善!

最近、腸内フローラに大きな問題がある難病患者に対して、「他人の腸内細菌」を丸ごと移植してしまおうという画期的治療法も出てきました。

 

それは、「ウンチの移植」(便微生物移植)です。

 

移植するのは、健康な人のウンチ100gです!

 

食べ物のカスなども含まれますが、ウンチはほとんど細菌の固まりと言えます。

 

乳酸菌飲料1本に入っている乳酸菌の数は、10億個程度と言われていますが、人のウンチ100gにはその1万倍、10兆個の菌が含まれています。

 

このウンチ100gを生理食塩水に溶かし、フィルターで濾した液体をダイレクトに患者の大腸に注入するというわけです!

 

難治性クロストリジウム・ディフィシル腸炎の治験

ディフィシル腸炎に悩む患者狸人を3つのグループに分け、従来の抗生物質と効果を比べた研究があります。

 

薬を使った患者の23~31%の方が改善したのに対し、ウンチの移植を1回した時の改善率は、81%、2回の移植によって、改善率はなんと94%に達しています。

 

ウンチ君はすごい力を持っていますね。

(クロストリジウム・ディフィシル腸炎:抗生物質の服用により、クロストリジウム・ディフィシルという菌が異常に増えて、大腸で炎症が起こる病気です。抗生物質を服用中、または数日後に症状が表れます。)

ウンチ君の活躍

2014年から、慶雁義塾大学病院(東京都新宿区)でも臨床試験が始まりました。

 

対象は、潰瘍性大腸炎患者が10人、腸管ベーチェット病患者が10人、機能性胄腸症患者が15人の計45人。

 

ここでドナー(ウンチの提供者)は、「配偶者か2親等内」の近親家族です。

 

本来なら生活環境が全く違う相手の方が効果を期待できるのでしょうが、「他人のものはイヤ」という患者が多かったそうです。

 

それは納得できますね。

 

ウンチ移植ほどダイナミックな効果は期待できないかもしれませんが、生活環境を変えれば腸内フローラも変わってきます。

 

腸内フローラの環境バランスを崩す大きな原因は、食生活です。

 

特に高脂肪食や食物繊維不足がいけません。

 

また、運動不足やストレスでディスバイオシス(腸内フローラのバランスが乱れた状態)が起こる可能性があります。

 

例えば、お腹一杯、肉を食べた翌日にオナラがくさいのは、悪玉菌が増えたためです。

 

暴飲暴食を避け、食物繊維の豊富な野菜を積極的に食べるのが肝要です。

 

納豆、漬物、ヨーグルトといった発酵食品も腸内細菌叢を整えてくれます。

 

規則正しいリズムや運動習慣など、体に優しい生活は腸内の善玉菌にも優しい生活になります。

 

規則正しい健康的な生活でデイスバイオシスを防ぐことが、アンチエイジングの達成につながります。