
年齢を重ねるにつれて、「昔と顔の印象が変わった」と感じることはありませんか?
体重はそれほど変わっていないのに、若い頃の写真と比べるとフェイスラインがぼんやりしている。頬の位置が下がり、ほうれい線も目立つようになった……。
こうした頬やフェイスラインのたるみが目立つ状態は、俗に「ブルドッグ顔」と呼ばれることがあります。
顔のたるみは、単純に皮膚だけが伸びて起こるわけではありません。
皮膚の弾力低下、紫外線によるダメージ、皮下脂肪の変化、顔を支える組織の変化など、複数の要因が重なって生じます。
だからこそ、ブルドッグ顔を予防・改善したいのであれば、一つの方法だけに頼るのではなく、毎日の紫外線対策や食生活、睡眠などを含めて総合的に考えることが重要です。
ブルドッグ顔になる主な原因
頬やフェイスラインがたるむ原因として、特に重要なのが皮膚の弾力低下と、顔を構成する組織の加齢による変化です。
若い頃の皮膚にはコラーゲンやエラスチンなどが豊富に存在し、肌のハリや弾力を支えています。
しかし、こうした皮膚の構造や機能は年齢とともに変化していきます。
さらに、顔の脂肪や筋肉、靱帯、骨格なども加齢によって変化します。
つまり、ブルドッグ顔は「コラーゲンが減ったから」「表情筋が衰えたから」という一つの原因だけで説明できるものではありません。
紫外線による肌へのダメージ
肌の老化を考えるうえで、紫外線対策は非常に重要です。
紫外線を長期間浴び続けることによって生じる肌の変化は「光老化」と呼ばれます。
特にUVA(紫外線A波)は肌の奥まで到達し、長期的にはコラーゲンやエラスチンなどに影響を与え、シワやたるみの原因になります。
UVB(紫外線B波)も日焼けやシミだけでなく、皮膚へのダメージや皮膚がんのリスクに関係するため、UVA・UVBの両方を防ぐことが大切です。
アンチエイジングを考えるなら、紫外線対策は最も基本的な習慣の一つといえるでしょう。
皮下脂肪や顔を支える組織の変化
加齢によって変化するのは皮膚だけではありません。
顔の脂肪の量や位置、筋肉、靱帯、さらには骨格も年齢とともに変化します。
こうした変化が重なることで頬の位置が下がり、ほうれい線や口元のたるみ、フェイスラインのもたつきが目立つようになります。
また、体重の大きな増減を繰り返すことも、顔の印象を変化させる要因になる場合があります。
ブルドッグ顔を防ぐためには、肌表面だけではなく、身体全体の健康を維持する視点も大切です。
ブルドッグ顔を予防するために取り入れたい対策
加齢そのものを止めることはできません。
しかし、肌の老化を加速させる要因を減らし、健康的な状態を維持するためにできることはあります。
ここからは、毎日の生活に取り入れやすい対策を紹介します。
①一年を通して紫外線対策をする
たるみやシワを予防したいのであれば、まず意識したいのが紫外線対策です。
紫外線は真夏の晴天時だけに降り注いでいるわけではありません。
季節や天候によって強さは変わるものの、曇りの日や冬でも紫外線は地表に届いています。
そのため、屋外で長時間過ごすときには、日焼け止めだけでなく、帽子や日傘なども組み合わせて肌を守りましょう。
日焼け止めを選ぶ際には、UVBを防ぐ「SPF」だけでなく、UVAへの防御効果を示す「PA」も確認することがポイントです。
紫外線を浴びてから対処するのではなく、毎日の積み重ねでダメージを減らすことが重要です。
②肌を温めればたるみが改善する?
蒸しタオルなどで顔を温めると心地よく感じ、リラックスにもつながります。
一方で、「毎日42℃で5分温めればコラーゲンが増え、1カ月でほうれい線が薄くなる」といった効果を一般化することには注意が必要です。
ヒートショックプロテインと皮膚の関係については研究されていますが、家庭で顔を温めるだけで目に見えるたるみ改善効果が得られると断定できるものではありません。
また、高温の蒸しタオルを長時間肌に当てれば、低温やけどや乾燥などを招く可能性もあります。
温める場合には「熱いほど効果が高い」と考えず、心地よい温度で無理なく行うことが大切です。
③「まいう体操」などの表情筋トレーニングは効果がある?
大きく口を動かして「ま・い・う」と発音する、いわゆる「まいう体操」など、顔の筋肉を動かすトレーニングが紹介されることがあります。
顔の筋肉を動かすこと自体はできますが、こうした体操だけでブルドッグ顔や深いほうれい線が確実に改善すると断定することはできません。
また、力を入れて同じ表情を何度も繰り返せば、部位によっては表情ジワを目立たせる可能性も考えられます。
行うのであれば無理に力を入れず、肌を強く引っ張ったりこすったりしないことが大切です。
表情筋トレーニングだけですべてのたるみを解決しようとせず、紫外線対策やスキンケアなどと組み合わせて考えましょう。
④肌の健康を支えるバランスのよい食事
肌の健康を維持するためには、毎日の食事も重要です。
コラーゲンはタンパク質の一種であり、その合成にはアミノ酸やビタミンCなどが関係しています。
だからといって、ビタミンCやコラーゲンを大量に摂取すれば、そのまま顔のコラーゲンが増えるわけではありません。
特定の食品やサプリメントだけに頼るのではなく、肉、魚、卵、大豆製品、野菜、果物などをバランスよく食べることを基本にしましょう。
トマトに含まれるリコピンをはじめ、野菜や果物にはさまざまな栄養成分が含まれています。
大切なのは「これさえ食べれば若返る」という食品を探すことではなく、健康な肌を維持できる食生活を長く続けることです。
⑤良質な睡眠を確保する
睡眠も健康な肌を維持するために欠かせない生活習慣です。
睡眠中には成長ホルモンをはじめ、身体の修復や代謝に関係するさまざまな仕組みが働いています。
以前は「成長ホルモンは夜10時から深夜2時に多く分泌されるため、12時までに眠らなければならない」といった説明がよく見られました。
しかし、成長ホルモンの分泌は単純に時計の時刻だけで決まるものではなく、入眠後の深い睡眠と密接に関係しています。
そのため、特定の時刻にこだわるよりも、自分に必要な睡眠時間を確保し、規則正しい生活を続けることを意識しましょう。
⑥喫煙を避ける
アンチエイジングを考えるなら、喫煙は避けたい習慣の一つです。
喫煙は肌の老化とも関係しており、長期的な喫煙によってシワなどが目立ちやすくなることが知られています。
さらに、タバコによる影響は美容面だけではありません。
がんや心血管疾患、呼吸器疾患など、さまざまな病気のリスクとも関係します。
肌の若々しさだけでなく、将来の健康という観点からも禁煙には大きな意味があります。
ブルドッグ顔を美容医療で改善する方法
セルフケアだけでは改善が難しいたるみについては、美容医療という選択肢もあります。
ただし、「ブルドッグ顔」と呼ばれる状態でも、原因や程度は一人ひとり異なります。
そのため、特定の施術がすべての人に適しているわけではありません。
ヒアルロン酸注入
ヒアルロン酸を皮膚の下などに注入し、顔のボリュームを補ったり、輪郭を整えたりする治療があります。
適切な部位へ注入することで、加齢によるボリュームの減少などを補える場合があります。
ただし、ヒアルロン酸注入には腫れ、内出血、左右差などのほか、まれではあるものの血管閉塞など重篤な合併症のリスクもあります。
また、効果の持続期間は製剤や注入部位などによって異なります。
安全性を考えるうえでも、十分な知識と経験を持つ医師へ相談することが重要です。
高周波・レーザー・赤外線などを利用した治療
美容医療では、高周波(RF)、レーザー、赤外線などのエネルギーを利用し、肌の引き締めやコラーゲンの生成を促すことを目的とした治療も行われています。
使用する機器によって作用する深さや期待できる効果、ダウンタイム、費用などは異なります。
機器の商品名だけで選ぶのではなく、自分のたるみの原因に適した治療なのかを医師と相談しましょう。
HIFU(高密度焦点式超音波)
超音波エネルギーを一定の深さに集中させ、皮膚やその下の組織に熱作用を与えるHIFU(ハイフ)も、たるみ治療に使用されています。
切開を伴わないことがメリットですが、施術には痛みや腫れなどが生じる場合があり、神経などへの影響を含むリスクにも注意が必要です。
施術を検討する場合には、適切な診断と管理ができる医療機関で相談することが重要です。
糸リフト(スレッドリフト)
医療用の糸を皮下に挿入し、たるんだ組織を持ち上げる「糸リフト」という治療もあります。
切開を伴うフェイスリフトと比較すると身体への負担が小さい場合がありますが、腫れ、痛み、内出血、感染、左右差、糸の露出などのリスクがあります。
また、効果が永久に続く治療ではありません。
施術方法や使用する糸によって特徴が異なるため、メリットだけでなくデメリットやリスクについても十分な説明を受けてから判断しましょう。
ブルドッグ顔対策で大切なのは、毎日の積み重ね
美容医療には、セルフケアでは難しいたるみを改善できる可能性があります。
しかし、一度施術を受ければ、その後ずっと老化が止まるわけではありません。
私たちの肌や顔を構成する組織は、その後も年齢とともに変化していきます。
だからこそ、ブルドッグ顔を予防し、できるだけ若々しい印象を維持するためには、毎日の生活習慣が重要です。
紫外線から肌を守る。バランスよく食べる。十分な睡眠をとる。喫煙を避ける。そして、自分の肌に合った適切なスキンケアを続ける。
一つひとつは特別な方法ではありません。
しかし、肌の老化は長い年月をかけて進んでいくからこそ、こうした基本的な習慣を継続することに意味があります。
すでに頬やフェイスラインのたるみが気になっている場合には、自己流のケアを過度に行うのではなく、必要に応じて皮膚科や美容医療を扱う医療機関へ相談することも選択肢です。
ブルドッグ顔対策は、「一度で若返る方法」を探すのではなく、将来の肌を考えて今日からできることを積み重ねることが基本です。

